※ ページ29
「殺す？ただ殺したくてしたわけじゃありません」
「これは復讐です。僕とあなたの」
椅子から立ち上がり私へと近づく。思わず私も椅子を離れ逃げるように後ずさった。
「僕は彼女を愛していました。昔の話ですが」
『……愛していた？』
「愛を求め、いつもどこか哀しそうな顔をしていた。飢えた彼女に、親も知らない、ロッカーに捨てられた僕は同じものを感じました。でもそれは嘘だった。ただの強欲な女だった」
背中に冷たい感触。行き止まりだ。彼はそのまま近付き、私の顔の横に両腕をついた。
「卒業前一緒に住もうと言ったんです。でも彼女は断った。父の転勤だの、すぐ会えるだの言って…僕は傷ついた。悲しかったんです。だから階段から突き落としました。」
貼り付けた笑顔で笑ったまま、淡々と語る。
「空港で見た彼女の姿は実に滑稽で可愛らしかった…壊したいと思いました」
「でも僕はもっと素敵なものを見つけてしまった」
その白い指が私の顎をすくい上げる。強制的に目が合い、その瞳から逃げることは出来ない。
「あなたは悲しそうな顔をしながらもどこか嬉しそうでした」
『……っ！』
「優秀な姉、比べられる人生。そんな姉が惨めでみすぼらしい姿になったことを、喜んだんじゃないですか？」
顎をなぞった指は頬にたどり着き、手のひらで片頬を包む。
「僕は壊れた彼女より空っぽだったあなたに惹かれた。あれから数年、腹違いの姉を見つけることが出来ました。でも…家族の愛なんてやはり、脆くて呆気なく終わるものだった。そんなものはいらない。…運命だったんです。7年の時を越えてあなたに出会えたことは。あの時からきっと僕達は結ばれる存在だったんだ」
「あなたの姉は、昔と変わらず図太く傲慢で…貪欲な人間でした」
＿＿あなたの為ならなんでもすると、僕は言いましたよね。
『…ん！』
すくい上げるように唇が重なった。段々と深くなり呼吸が苦しくなる。押しのけようとするも、華奢な身体に似合わずビクともしない。
『…っは』
「何度も伝えていますが、僕はあなたを心から愛しています。」
「＿＿だから彼女を殺しました。」
狂愛だ。まるで淡い恋心を抱くようにそれが私への愛の証だと思っている。もう一度その顔が近付き唇に触れた。
思わず涙が零れる。
姉の死が、この真実が悲しいからでは無い。
だって＿＿＿＿＿。
唇が離れ、部屋には掠れた私の声が響いた。
『……私が殺そうと思ってたのに』
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
