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「不用心ですね。簡単に玄関を開けるだなんて」
「…そうか、声、出ないんでしたか。あの日から」
インターホンを鳴らせば、間抜けな顔をして簡単に出てきた。
僕の顔を見て震え上がる様子は、あの日と変わらない。
体が動かないのだから、逃げるすべもない。
ゆっくりその車椅子を押し、家の中へと入った。
生活感の溢れるリビング。ここでいつも、彼女は生きているのか。
2人には広すぎる部屋はどこか寂しげで
部屋の仏壇には母親と父親の写真がそれぞれ飾られていた。
そこを通りすぎ、奥の風呂場へと車椅子を押す。
突発的に声でも出されたら困るので
彼女の手は縛り、布で口を塞いだ。深い浴槽に、水を貯める。
「大丈夫です、もう終わらせてあげます」
一時的に手を解く。彼女の手を上から握って、そのスマートフォンの液晶をタップした。
指紋がついたら、色々と困るからだ。
送りたい時刻に送信できるように設定し、一言だけ文章を打った。
「大変でしたね。不自由な身体で生きるのも大変だったんじゃないですか？でもあなたは欲深いですから。それすら快感だったのかもしれませんね。」
「そういえば、昔僕があげた四葉のクローバー…その花言葉を、知っていますか？」
「今では、あなたが鉢植えを投げ捨てたおかげですっかり庭に繁殖したみたいですね。嬉しいです」
四葉のクローバーの花言葉。
約束、幸運、私のものになって。そして＿＿＿復讐。
「これはあの日あなたに騙された可哀想な僕の復讐。」
「それと＿＿あなた達に、ただ純粋に愛されたかった彼女の復讐です。」
口元に当てていた布を解き、最後に貼り付けた笑顔を向けると
目を見開いて怯えていた。この顔はなかなかに、嫌いじゃなかったのだが。
勢いよく頭を後ろから押し、顔を水の中へと沈めた。
バタバタと足掻いていた手足は段々と力がなくなり、だらんと下に垂れさがる。確実に息が止まっていることを確認し、その身体を丸ごと浴槽の中に入れた。
差し込む淡い光が、水に沈む姿を映すこの場面はどこか幻想的だ。
「Aさん、もう大丈夫ですよ」
あなたには、正真正銘僕しかいない。
事故で身体が不自由になった哀れな姉。その人生に絶望し
最後な力を振り絞って、自ら浴槽で終わりを迎えた。
なんとも儚く、素敵なハッピーエンドだ。
【もう疲れました】
16時。送信された相手は【桜木 A】
上がる口角を抑え、この家を後にした。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
