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すれ違う人の視線が刺さる。そんなこと、今はどうでもいい。
真冬に薄着、止まることの無い涙が顎を伝う。
そんな女の姿を、物珍しく見るのも仕方ない事だ。
''はじめまして、A…ちゃん？よろしくね''
''私もこのアーティスト好きなんだよね、Aちゃんも？''
''困ったことあったら頼りなさいよ、私の方がお姉さんだからね''
初めて出会った日、好きな音楽の話をした日。
私のことを、妹のように大事にしてくれた。
『…美鈴ちゃん』
さぞかし、辛かった事だろう。痛かった事だろう。
私には想像もつかない。
''マッチングアプリで出会った彼氏にプロポーズされたんだ''
そう言って涙を浮かべながら教えてくれた
美鈴ちゃんの姿を思い出していた時。
「お久しぶりですね」
虚ろな視線の先に見えた黒の長靴。聞き覚えのある声。
ゆっくりと視線をあげると
あの日、電車で出くわした時と全く同じ格好をした
トムの姿があった。
『…なんの用』
「今日は驚かないんですね」
『今はどうでもいいの、あんたの事なんか』
「それは悲しいです」
＿＿僕は、毎日Aさんの事を考えていました。
それはそれは有難いことだ。
こんな異常な男を目の前にしながらも
涙は未だに止まることは無い。
「僕は人の感情に、あまり興味がありませんが」
少しずつ縮まる距離、伸びてきた指先。
「Aさんの泣く姿は、愛しくもあり、同時に悲しくもなります」
私の涙を拭ったその手はやはり冷たく、氷のようだった。
視線が交わり、真っ黒な目に吸い込まれそうになる。
伏せがちな目、白い肌、通った鼻、星の様に散らばる頬のほくろ。
長い前髪が顔にかかっていても
その顔立ちが中性的で美しいことは、私にもわかる。
『…慰めてるつもり？』
「殺されたあの方、とても大切な人だったんですね」
『…はは、知ってるのね』
「あなたのストーカーですから」
''ですが、危害は加えません。''
''言うなれば、ピースフルなファンの様なものです。''
思わず鼻で笑ってしまう。もう、全てどうでもいい。
『…大切な人だったの』
『私を唯一、愛してくれてた存在だった』
『だから幸せになって欲しかった』
『なのに、幸せになるべき日に殺された』
『私も、本当の家族のように…愛してた』
閑静な住宅街。私の声は、静かに、悲しく響くだけ。
「…僕の愛は深海よりも深い」
「僕は、彼女以上にあなたを愛しています」
頬に触れていた手は、首に周り
その薄く整った唇が、私の唇に触れた。
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蒼(プロフ) - のんさん» 初めまして！よかったです…！😭吐夢くんの重さならきっとヒロインちゃんを1人逝かせることは無いよな…と思いニヤニヤしながら書いてました☺️笑とても素敵なコメントありがとうございます😭 (3月24日 11時) (
レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新ありがとうございます！元々の終わり方も好きでしたが、Another endの方も好きでした...！吐夢くんとなら地獄でもどこへでも行きたいですね← 最高でした...(語彙力なくてうまく伝えられずすみません😂) (3月24日 7時) (レス) @page37 id: 54603a8b2a (このIDを非表示/違反報告)
蒼(プロフ) - 零さん» ありがとうございます🍀✨好きなエンドが別れるかなと当方も書きながら思っていたので、Anotherの方で楽しんでいただけて良かったです…！素敵なお言葉ありがとうございました☺️🌷 (3月23日 16時) (レス) id: 17192916b3 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - こんにちは。作品を一気に見て感想の方をコメントさせて頂きました。私、個人的にはAnother endが好きな終わり方だったな、と勝手ながら思いました。勿論、本編の方もドキドキしながら読ませて頂きました。素敵な作品を有難うございます。長文失礼しました。 (3月23日 16時) (レス) id: 46e0494878 (このIDを非表示/違反報告)
ニー(プロフ) - 蒼さん» あ、そうなんですね！分かりました！また機会があるときにお願いします！ (3月20日 11時) (レス) id: e747ca13ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2024年3月4日 13時
